職業の4分類

ロバート・キヨサキさんってご存知ですか?アメリカの有名なビジネスマンです。日系人ですが日本語は全くダメ。その彼には2人のお父さんがいて、その2人のお父さんの教えを比較しながらまとめた「金持ち父さん貧乏父さん」という成功哲学の本が世界的ベストセラーになっています。もしかしたら「読んだことがあるよ」っていう方もおられるのではないでしょうか。

その彼が「クアドラント」というものを提唱しています。職業の4分類とでも言えばいいのでしょうか。今日はこの「クアドラント」と講師について書いてみたいと思います。


私の話に入る前に、まずはロバート・キヨサキさんの紹介をしておきます。

<出典:Wikipedia>

ロバート・トオル・キヨサキ(Robert Toru Kiyosaki、日本名:清崎 徹(きよさき とおる)、1947年4月8日 - )は、アメリカの投資家、実業家セルフヘルプ著者モチベーショナル・スピーカー金融リテラシー活動家、時折金融コメンテーター。日系4世。『金持ち父さん』シリーズの著者

ハイスクール卒業後、ニューヨークの米国商船大学校へ進学。卒業後に海兵隊に入隊し、士官、ヘリコプターパイロットとしてベトナム戦争に出征した。帰還後、ビジネスの世界に乗り出し、1977年ナイロンベルクロを使ったサーファー用の財布を考案し会社を設立。その後いくつか会社を起こしたが1994年に47歳でビジネス界から引退し、「金持ち父さん」から学んだ教えを広めるため、ボードゲーム『キャッシュフロー101』、『キャッシュフロー202』を考案。

1997年に著書『金持ち父さん 貧乏父さん』を執筆。『金持ち父さん 貧乏父さん』は全世界で51カ国語に翻訳され、109カ国で紹介されている。『金持ち父さん』シリーズは、日本で累計300万部、全世界では累計2800万部を突破した。(2008年11月現在)多くの経営者、ビジネスマンからの評価も高く、若い内に読んでおいた方が良い書籍として推薦されている。

こんな感じの人です。

最初に注意事項があります。今日のブログに書くいくつかの箇所はロバート・キヨサキさんの知的財産に関わる内容になりますので、詳しく知りたい方はご本人に権利のある著書や映像を購入して、きちんと学ばれることを推奨します。

それでは続きをはじめましょう。


私が彼の存在を知ったのは確か30代半ばくらいだったと思います。日本語に訳された「金持ち父さん貧乏父さん」を先輩起業家から紹介されて購入。一気に読み通して衝撃を受けたことを覚えています。

中でも大きな衝撃を受けたのが「クワドラント」でした。いまだにこれについて書こうというくらいですから、その衝撃がいかほどだったかは想像に難くないと思います。その日以降、私はこの「クアドラント」を意識しない日がなくなったといっても言い過ぎではないくらいです。

それまでの私は「クアドラント」を知らずに毎日、来る日も来る日もあくせくと懸命に働いていました。まさしく自転車操業状態で、本音では「休むのが怖い」がために365日休みなく働いているような状況でした。「起業してみたものの、この先、どうすればいいのか。こんなことなら我慢して会社にいた方が良かったのかも」などと弱気になることも少なくありませんでした。

そんな私がこの「クアドラント」を知ったことから、暮らしが一気に改善に向かい、今では当時とは全く違うゆとりある人生を歩めています。


この本に紹介されているのが「クアドラント」です。右側の図にある、ESBIと書かれたこのシンプルな図が全てを表しています。

彼は「職業は4つに分けることができる」と言い切りました。図にあるESBIの4つです。それぞれ、4分類の頭文字を取っています。

  • E ➡ Employee サラリーマン・従業員等の雇われの職業
  • S ➡ Self-employed 自営業(自分で自分を雇う)
  • B ➡ Business-owner 経営者・ビジネスオーナー:組織を動かす
  • I ➡ Investor 投資家:お金を働かせる

勘のいいあなたならこの図だけで分かってしまうのではないでしょうか?ものわかりの悪い私でもこの図を見ながら説明を読んでおおむね理解したくらいですから。

この「クアドラント」を知るまでは、実のところ、職業と職種の違いをはっきりと認識していませんでした。当時の私はすでに会社を経営していましたので自分のことを「経営者」と思い込んでいましたが、それは所詮、肩書にすぎず、実態はクアドラントのS、いえ、Sの中でも限りなくEに近い仕事ぶりでした。

自分自身の職業を明確に意識してからは仕事のやり方や考え方を見直して、すぐにBに近いSとなり、その後、Bに変わり現在はIに近いBをしています。


4つのクアドラントを理解してもらえたところで、いよいよ今日の本題である講師について見ていきたいと思います。すでに講師というのは職種であってクアドラントではないことはお分かりと思います。これ、とても大切な気づきです。そのうえであなたの現在地点を知るために整理していきたいと思います。

Eの講師

学校などで教えている正規雇用の講師、または1レッスンいくら、1時間いくらで教えている非正規の講師がEに属します。メリットは、働いた分の額を確実に受け取れること。デメリットは、想定外の報酬を受け取ることがないことです。

例えば、月に22日、1日8時間働くのが原則の正社員型講師は毎月決まった報酬を受け取ります。また、1レッスンいくらで教える講師の給料は×レッスン数で報酬を得ることができます。

会社員のボーナスは予想外の報酬に該当するのでは?と思う人もいますが、日本の場合は毎月の給料で支払うべき報酬を積み立てて、後でまとめて支給するだけですので、それは勘違いです。

Sの講師

ここでは「3か所以上から報酬を得ている講師」としたいと思います。例えば、自分が主宰する一人協力校で教えながら(1つ目)、他の協力校に教えに行っていて(2つ目)、専門学校や企業などでも教える(3つ目)ような講師です。つまり「3のチカラ」を持った講師です。

自分次第で「やったらやっただけ」の報酬が得られるのがメリットです。やりようによってはEよりも大きな報酬が得られます。Sの講師には個人としての力量のある人が多い傾向にあります。デメリットは、「自分が倒れたらおしまい」ということです。

Bの講師

ここでは「3人以上の講師を雇っている協力校を経営する講師」としたいと思います。教室ビジネスを組織にして、その組織を動かすことで報酬を受け取るイメージです。仕事はBですが、自分が余力のある範囲で講師をすることは何ら問題はありません。他の協力校や専門学校などで教えることも問題ありません。これらの場合はSとBを兼ねている感じですね。

メリットは、自分に何かあってもビジネスが回り始める=多馬力になっているということ。デメリットは講師職に専念できないことでしょうか。

Iの講師

ここでは「3校以上の協力校を経営する講師」としたいと思います。Bと似ているようですが、多くの資本を提供する、または準備するという意味では別と考えて良いと思います。3校を開校するとなると教室の賃貸の保証金や設備費、開校時の宣伝広告費などで、少なく見積もっても合計1000万円の投資が必要です。

Iになると講師をやることはほとんどなくなると思います。講師をやるとすれば、Iとはきちんと区別してやらなければなりません。

メリットはますますお金を働かせることで、大きな報酬が期待できること。デメリットは、資本の減少といった元本リスクや借り入れの増加といった信用リスクが発生することでしょう。


どうですか。今のあなたがどこにいるのかについては分かったのではないか思います。

ところで、クアドラントを見ていると、ESBIのどのクアドラントにも一長一短があることが分かります。つまり、どのクアドラントがいいとか悪いとかはないということです。なので、あなたにどのクアドラントに就け!などと言う権限は私にはありません。すべてあなたが決めればいいことです。

一方で、クアドラントごとに目指せる収入の目安はあります。働く以上はより高収入を、という人にはとても大切なファクターですね。

ざっとではありますが、あなたがEであれば正社員で月収30万円くらい、非正規では数万円から20万円くらいでしょう。Sであれば月収20から50万円。Bであれば月収30~60万円、Iであれば80万円以上といったところでしょうか。人生に欲張りな私は、当然のようにIを目指すことになります。

これらのこと、私の価値観も踏まえたうえで、私があなたにおススメしたいこと、そして私があなたを応援できることがありますので、続いてそのお話をさせてください。


第1回のブログで「3のチカラ」について書きました。覚えておられますか?もし忘れていたり、まだ読んでいないならばぜひ読んでください。「3つのチカラ」を人生を良く生きる黄金律のようなものですから…

それでは私のおススメ。もし今のあなたが…

まずはSになる

今のあなたが会社勤めなら、その会社で働きながら協力校をはじめて、他の協力校でも教えること。主婦だったら、家事をつづけながら協力校をはじめて、他の協力校でも教えること。Eの講師なら、今の講師をつづけながら協力校をはじめて、他の協力校でも教えること。加えて、Sの講師だが、実際にはE×いくつかの雇われ講師状態だったら、今の講師を2つ以上続けながら協力校をはじめること。とにかくSになることを強くおススメします。

SからBへ

今のあなたがBの講師で、実際には一人協力校だったり個人経営だったら、講師を3人雇って、組織にすること。

BからIへ

Bの講師で協力校1校を経営しているなら、2校目、3校目を出すこと。

これを読んでお分かりと思いますが、私のおススメは、「何よりSに。そしてBへ。さらにIへ。」というものです。

ここで、少し話がそれるかも知れませんが、大切なことをお伝えしておきます。

私は1-2箇所に雇われている状態、つまりEを肯定していません。実は講師に関わらずすべての職種においてそういう考えを持っています。もし雇われるとしても、少なくとも3か所から雇われる必要があると考えています。「3のチカラ」を使うのためです。

最近、複業が肯定されてきて、わが国も働く人の幸福について真剣に考え始めたなと喜んでいるのですが、まさにそういうこと。正副の副業ではなく、複数の仕事が人を幸せにします。理由は簡単。「3のチカラ」と使うことで、必要以上の競争に巻き込まれないためです。そのためにはSで働くことです。もちろん、収入の安定やアップも大切な要素ですよ。

BやIはSをはじめてから考えても遅くはありません。


私の役割についてお話をして今日の締めくくりにさせてください。

私はこれまで決して順風満帆にやってきた訳ではありません。我が強く頭も固いので、どちらかというと失敗の連続だったように思います。英語学校の前はパソコン学校を手広くやっていて、調子に乗ってイケイケどんどんとやった挙句に破産寸前に陥ったこともあります。協力校を引き受けてからも山あり谷あり。どうにかこうにか凌いできた感じです。そんな私だからこそ、決してあなたの代わりに答えを出すことはできませんが、あなたより少し先を歩いてきた分、あなたが答えを見つけるためのヒントを与えることが可能です。

これからSになる、協力校をはじめるというあなたは、何が起こるかわからない未来に対してとても敏感になっているはずです。そんな時、頼りになるのが先を歩いている私です。今後はあなたの背中を押す意味でも、あなたにこれから起こる様々な出来事についても話をしていきたいと思います。

ところで、ご存知の方もおられると思いますが私が講師をやっていたのは英語ではなく「資産形成」の分野。なんと投資を教える専門家でした。今日はその専門分野から大切なことを一つお伝えして終わりますね。

最近は日常会話でもRISKという言葉が出てきます。テレビなどでも有名人が物知り顔で使っているのをよく見聞きします。もしかして、あなたも使うことがあるかもしれません。実はこの言葉は多くの場合、間違って使われています。

この言葉がテレビなどで使われるようになったのは金融ビッグバンの頃で、あくまで金融用語としてでした。金融におけるRISKは、中学で習うRISK=危険ではなく、意味が明確に定義されています。しかし今では多くの人がRISKを「危険」という意味で使っているようです。

金融用語のRISKは未来の「不確実性」を意味します。当たり前ですが、未来が分かる人などいないので、未来には必ず「不確実性」が存在します。したがって、金融の世界では不確実性がない=ノーリスクが存在しないのが常識です。

ではいったい何に対する不確実性かというと、RETURNと言うことになります。この場合のRETURNは「見返り」ですから一般益的な英語の意味との違いはありません。

これを踏まえて投資の現場でのたとえ話をするとこんな風になります。

「インドネシアは今後、経済が大きく成長します。製造業の中国離れが加速する中、親日国であるインドネシアが製造業の新たな進出先として注目されているからです。インドネシアは国民の平均年齢が若く人口も多いので労働力が豊富。しかも人件費が圧倒的に安い。製造業にとって旨味があります。これから成長がはじまる今が絶好の投資のタイミングです。今、この工場用地を1000万円で買っておけば、5年後には10倍の1億円、場合によっては20倍の2億円に値上がりする可能性があります。」

「10倍から20倍とは凄いRETURNですね。ところでどんなRISKが想定されますか?」

「はい。この場合の最大のリスクはソブリンリスク:sovereign riskです。国として未成熟で、いまだにクーデターの試みなどもあります。もし政権が変わるようなことがあれば土地は他人の手に渡ります。」

「なるほど。その場合は1000万円がパーですか。その可能性はどの程度見込まれますか?」

「20%以下と考えています。インドネシアへの投資の増大と並行して、日本政府も現地の治安の維持に力を入れはじめています。」

「それなら大丈夫かもしれませんね。RETURNが少なくとも5年で10倍、一方で1000万円を失うリスクが20%以内なら私の許容範囲です。思い切って投資しましょう。」

いかがですか?このように投資の現場では「RISK=危ない」といったニュアンスはありません。そしてリスクには必ず「〇〇%」という話が出てきます。もちろん、常にリターンの話がパックです。

このことが分かっていない人がこんな言い方をします。「その投資にはRISKがあるから…」。きっとこの人はRISKという英語遣いにかっこよさを感じて使っているか、それとも聞き手を震え上がらせたいのでしょう。

前述した通り、投資にRISKがあるのは当たり前。そのうえで大人の話をするなら「RETURNに対してこんなRISKがあって、その確率は〇〇%です」というのが正しい。こう言われると聞いた方も「なるほど、RETURNは魅力的だがRISKが20%とは自分には高いな。10%ならOKなのにな。」ってことになります。

実は投資の世界って、多くの人が思うほど怖いとか言ったナイーブな世界ではなく、数字とエビデンスと自己責任のクールな世界です。煽るとか、絶対にありません。もし煽られたなら、それはきっと詐欺か、あなたではなく業者が儲かる話です(笑)

とにかくRISKをやたらと使う人と、RISKと聞いてビビってしまうご自身にはご用心!

なになに、協力校をやるRISK?

それはあなたが協力校になっても何もせず、RETURNがゼロだった時、13万2千円が無駄になるということです。少なくとも教材を受け取って教材研究をしたり、協力校の集まりに参加できたりするわけで、そうなると果たして何らかの損があるのかさえも不明…。

バカバカしい。あなた自身があなたを疑っていてははじまりませんよ。何もしないかもしれないあなたに対してあなた自身が投資しない、投資したくない。ただそれだけのことだと気づきましょう。やる気がないなら最初から協力校どころか、お金を出して何かやろうなどと思わないことです。

ちょっとエキサイトしました(笑)見逃してください。そうそう最後の最後にもう1つ。「協力校をやる」という選択を何度もしつこいくらいススメていますよね。これはとても深い意味があることなので次回以降にたっぷりと書きたいと思います。それまで、お楽しみに!

今日はこんな感じです。